目と耳と汗骨皮肉と毛と脳髄 鼻汁汗便流れ停まらず
滴塵005
本文
目と耳と汗骨皮肉と毛と脳髄 鼻汁汗便流れ停まらず
形式
#自由詩
カテゴリ
#2.修行・実践
ラベル
#生死 #無常 #自然現象 #悟り #精神
キーワード
#肉体 #五感 #汗 #脳髄 #日常
要点
生きていること、身体感覚の全体をリアルに描写。
現代語訳
目や耳、汗や骨、皮膚、毛、脳髄、鼻汁や汗や排泄物まで、全てが絶え間なく流れ続ける。
注釈
汗骨皮肉と毛と脳髄: 肉体を構成する要素の列挙。
鼻汁汗便: 身体から排出される不浄なもの。
流れ停まらず: 常に排出され続けている、変化し続けている。
感覚・身体機能の全てを列挙し、無常や生死の流れを意識させる。
原始仏教からある伝統的な観相法。
解説
肉体のリアルな描写を通じ、無常と生死の感覚を読者に伝える手法。日常と修行の境界を問う表現でもある。
深掘り_嵯峨
この歌は、仏教の不浄観(ふじょうかん)を極めて直接的に、そして克明に描いたものです。一見、愛でるべき肉体も、その本質は不浄な要素の塊であり、常に変化し、流出し、留まらない(無常)ものとして捉えられています。
滴塵001〜004が精神的な悟りや清浄なヴィジョンを謳い上げた直後に、この生々しい肉体の現実を突きつけることで、清浄と不浄、精神と肉体という強烈な対比構造を生み出し、悟りの探求が、この「汚れた」現実から目を背けるものではないことを示しています。